関西学院大学 体育会 山岳部

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北アルプス縦走個人山行報告書

 

行程

8月14日(土) 離阪~中の湯
8月15日(日) 中の湯-西穂山荘TS
8月16日(月) TS―西穂高岳―奥穂高岳―奥穂高岳山荘TS
8月17日(火) TS-槍ヶ岳山荘TS
8月18日(水) TS-鷲羽岳-野口五郎岳-烏帽子小屋TS
8月19日(木) TS―烏帽子岳―船窪岳-蓮華岳-針ノ木小屋TS
8月20日(金) TS-針ノ木岳-鳴沢岳-爺ヶ岳-冷池山荘TS
8月21日(土) TS-鹿島槍ヶ岳-五竜岳-五竜山荘TS
8月22日(日) TS-唐松岳-天狗山荘TS
8月23日(月) TS-白馬岳-雪倉岳-朝日小屋TS
8月24日(火) TS-五輪尾根-蓮華温泉~帰阪

20100825_01杓子岳山頂にて

8月14日(土) 離阪日
9:00大阪~18:15中ノ湯
高山駅からバスに乗り中ノ湯へ向かっていると大粒の雨が窓ガラスに叩きつけられているのに気づく。不安が煽られているようで非常にブルーである。登山口近くの道路脇にあった小さな三角スペースにテントを張り、人目を避けるように中へ潜り込む。これから10日間余りの間に一体何が私を待っているのだろう、と期待と不安を半分ずつ抱えて眠りに入る。

8月15日(日) 曇り時々小雨
4:30発-6:35下堀出合-8:10焼岳北峰-9:30焼岳小屋-12:16西穂山荘TS-13:50西穂独標-14:25 TS 22:00就寝
昨日の雨で濡れた草にズボンを濡らしながらゆっくり登る。空気は湿っているし蒸し暑いし、何だか憂鬱だなぁ、なんて考えていると、パキッ!という音と共に右手が不意に下がる。山本さんに借りたストックの先端部が折れたのだ。幸いにもこのストックは二段階になっているのでまだこいつは死んでいない。それにしても幸先の悪いことこの上ない。下堀出合を過ぎると次第に硫黄の臭いが鼻につくようになってくる。北峰の手前で休んでいると、ふと日中韓に参加されていた日本山岳会東海支部の稲垣さんのパーティに出会う。焼岳小屋まで一緒に行かせてもらい、少し元気づけられたところで別れる。翌日北穂まで行くという私への、ザックを引っ掛けて墜ちてしまわないように、単独山行では誰も助けてくれないよ、という真剣なアドバイスにただうなずくばかりであった。TSは家族連れやカップル、グループで賑わっている。一段落してから独標まで様子を見に行くことにするが、独標から先はガスのせいで何も見えない。何だか拒まれているようでそそくさとTSに戻る。

8月16日(月) ガス・霧雨
2:15 起床4:05発-5:03西穂独標-6:20西穂高岳主峰-8:05間ノ岳-9:10天狗岩-9:35岳沢コル-13:00奥穂高岳-13:35奥穂高岳山荘TS 20:00就寝
昨日は隣の家族連れがずっと騒がしくなかなか眠りにつくことができなかった。そうでなくともどうせ今日の行動予定に緊張して眠れなかっただろうが…何にせよ、山にゲームを持ってくるな!夜が明ける時間となってもガスのために薄暗く視界が悪かったが喝を入れて一歩踏み出す。目の前の岩ばかりを見るのでなく、遠くのほうまで全体的に見ていかないと迷うよ、というまたしても稲垣さんの言葉どおり、一つ一つ先のマークを確認して慎重に登る。岩峰を超えるごとに岩に記されている数字が小さくなっていくのが面白い。西穂高岳ってこんな山だったんだ。視界が利かないためどこをどう登って下っているのかわからないまま、ただがむしゃらにかつ慎重に先に進む。間天のコルを過ぎてスラブ状の岩を登る際には岩が濡れていて足が滑るため、その登り方はさながらリポビタンDのCMのようであった。(…と思う。誰か見てくれていたら!) と、遂に“馬の背”がやってきた。四つん這いになって進むと聞いているナイフリッジを前に、これ以上進みたくないという心の声と数秒間格闘する。選択肢はない、進まなければ!山頂で写真を撮り、ほっとしながら本日の寝床へと向かう。自分の後ろにはカップルがいたようだが、こんな場所を選ぶなんて、粋というかすごい。またHPではよく年輩の方がこの間の山行記録を載せているが、今日の自分の体験からするとほとほと感心するのみである。岩場の登降には日頃のクライミングの練習が役に立った。恐怖感と不安感で過剰に力が入ったが、手や足はしっかりと岩を捕まえられていたと思う。とりあえず、今日も無事!

20100825_02奥穂高岳山頂にて

8月17日(火) 晴れ
4:20発-4:40涸沢岳- 6:47北穂高岳-8:05A沢コル-10:23南岳-11:50中岳-12:23大喰岳-12:47槍岳山荘TS 19:30就寝
朝目覚めて空を見上げると満点の星空が広がっている。よしよし、夏山はそうこなくっちゃ。昨日ガチガチに頑張りすぎたせいで両太ももに筋肉痛が走っている。今年5月の日中韓で常念岳から見た奥穂高岳~槍ヶ岳間の稜線の美しさに魅せられてから早3カ月。自分が数ヵ月後この場所にいるとは想像もしていなかった。涸沢岳から最低コルまでは鎖や梯子が続き足場も狭いので慎重を要した。北穂高岳のピークを踏み、憧れの大切戸に挑んだわけだが、もうどこが危険だとかではない、どこもかしこも“危険”じゃないか。エアリアを見てここは危ないぞ、とか、鎖があるぞ、とか毎度気持ちを委縮させていたってしょうがない。手や足を滑らせることはありえない、ただ自分の手足の感覚でしっかりと掴むのみである。大切戸から南岳への登りはきつかったが、前方にちらちらと見える槍ヶ岳に向かって少しずつ近づいていくのが嬉しい。岩稜を抜けて緩々とTSまで登る。山荘はというとやはり登山客で一杯である。清潔な香りの中に長居していると心が揺れる、早くテントに戻ろう。槍ヶ岳の往復はガスがかかっていたため見送ることにした。いや、ガスがかかっていなかったら→登ったカモしれない、疲れていなかったら→登ったであろう、というのが本音である。一つの山場を越えた安堵にどっと疲れが出た。

20100825_03槍ヶ岳

8月18日(水) 晴れ
0:50起床 2:15発-5:45双六小屋-8:05三俣山荘-9:25鷲羽岳-10:00ワリモ岳-10:43水晶小屋-13:35野口五郎小屋-15:55烏帽子小屋 20時過ぎ就寝
今日烏帽子小屋まで行かなければテン場の関係から1日延びてしまう。明日の行動時間も微妙だ。エアリアのコースタイムで14’20、行けるだろうか。槍から伸びる西鎌尾根は1年時の経験から危険でなかったはずである。今日さえ乗り切れば明日は休養日として少しの行動で済む(と考えたのが間違いであったことに気付くのはこの日の夜である…)。マーク・踏み跡・方位磁石をもとに双六小屋まで進む。次第に夜が明けてきたのでギザギザの北鎌尾根を写真に収めたり、笠ヶ岳周辺の概念を確認したりしながら気分良く歩く。槍はやはりシルエットが美しい。三俣山荘に着く頃には日差しが強くなっており、日射病に注意するよう言われてきたことを思い出す。鷲羽岳を登る途中、「山ガールだね、今流行りの。」と言われて何だか微妙な気持ちになる。単純に流行に乗っているわけではない。とはいえ昨日の「山女ですね。」という言葉にも違和感を覚えたが…。360度のパノラマが広がる鷲羽岳の頂上は非常に気持ちがいい。三俣山荘から抜かし抜かされしている男性は不審だが気にせず歩く、歩く。彼は雲ノ平に行くと言っていたのに、分岐を過ぎてもまだ後ろにいる。別にストーカーじゃないよ、と正体を明かしたのは実は好日山荘宇都宮店の社員らしく、山行報告するのであれば休みを取れるのだとか。久々に挨拶以外で人と長く話せたことで元気が出る。水晶小屋にて彼と別れてからはひたすら烏帽子小屋を目指して歩く。真砂岳・野口五郎岳を巻いて野口五郎小屋に着く頃には太陽の熱と長時間の行動に疲弊していたが、自分一人しかいないのだという厳しさを噛みしめる。三ツ岳の3つのピークを憎く思いながら過ぎ、ラジオ天気図放送が始まるギリギリ5分前にTSに到着する。明日は船窪小屋まで、と考えていたが、小屋主の「針ノ木まで行けるよ。」と言われ単純にもその気になってしまう。ようし、行こう。

8月19日(木) ガス/晴れ
1:20起床 2:50発-5:30不動岳-7-40船窪岳第二P-8:35船窪岳-10:00七倉岳-11:30北葛岳-14:12蓮華岳-15:18針ノ木小屋TS
小屋から南沢岳までは池が点在していて多く植物が育っている。夜露に濡れたピンク色の花がきらきらと輝いて、ついシャッターを押してみるが上手く写らない。この辺りは登山道が狭く大きな岩や木の根に手間取る。記憶が確かではないが、不動岳頂上近くに我が関学山岳部員であった藤田智樹さんの慰霊碑があった。アルプスの峰々に願いを込めて。様々に思いを馳せながら樹林帯を下る。柔らかい土は足には優しいが虫が多いのが気になる。船窪岳までは不動沢側が急斜面になっているが、特別危険な個所に気付かないまま通過した。滑落事故があったという認識から知らず知らずのうちに慎重になっていたからかもしれない。乾燥した砂地で滑りやすいため、ワイヤーが付けられている場所でも注意するほうが良い。またワイヤー自体針金が飛び出ている部分があるのでそれにも注意。北葛乗越から鎖場を抜けると平たい蓮華岳が稜線上に見え、足が少し沈むようなじゃりじゃりした道を登り切れば頂上である。針ノ木小屋近くでは本当に熊が出るらしく、夜間の外来トイレを使用しないようにと小屋のお姉さんに言われた。そのお姉さんは小屋で働いている人には珍しく色っぽく見えたのはなぜだろう。隣のテントの人に、貼ると痛みがなくなるというカードを一夜貸してもらい奇跡を願って目を閉じる。

8月20日(金) 晴れ時々曇り
2:00起床 3:30発-4:23針ノ木岳-5:22スバリ岳-8:22鳴沢岳-9:50岩小屋沢岳-11:10種池小屋-12:02爺ヶ岳南峰-12:23中峰-13:42冷池山荘TS
カードの効果は!??…むむっ。4000円のカードは私の足には効かなかったようだ。完全に信じていたわけではないが、少しでもその効力を期待した私はバカだ。道理なく憤りながら朝日を浴びて歩き始める。今日は左手に黒部湖と立山が見えている。特段無難しいとか危険だとかいう場所はないのでこの辺なら親を連れてきてもいいかもしれない。ところで。今まで自分が持っていた‘山’のイメージはというと、非情で、人間に無関心でかつ人間を受け入れない存在、というかなり擬人化したものであった。それだから山を見ても、それがどれだけ美しくても、敵対心というか、つまりそこでどれだけの人が命を落としたのかを考えると山を決して好きとは言えなかった。しかしこの縦走中気付いたことは、山はただ存在するのみで、登山という人間の活動とは別物だということだ。滑落するのも、雪崩に遭うのも、はたまた感動するのも全ての原因は人間なのだ。甘かったのだ、とつくづく思う。閑話休題。種池小屋への道で猿に遭遇する。鈴を持っていないため得意の鼻歌で自分の存在をアピールすると、それに気付いて草陰に潜り込んでいった。都会の猿はともかく野猿は襲ってくるのだろうか。爺ヶ岳からは劔岳の展望が良いはずだがガスが上がってちょうど頂上部が見えない。頂上にはもう二時間もシャッターチャンスを狙っている女性なんかもいた。冷池山荘TSは山荘から登り8分という場所にあり、水を買いに行くにもトイレに行くにも非常に不便であったが、そこから見える夕焼け空は素晴らしかった。

20100825_04夕日に染まる剱岳

8月21日(土) 晴れ
1:00 起床2:35発-4:20鹿島槍ヶ岳南峰-4:55北峰-6:30キレット小屋-8:25北尾根ノ頭-10:43五竜岳-12:15五竜山荘-20:00就寝
何としても鹿島槍ヶ岳の頂上から日の出を見たい。1年時の冬山合宿の際に布引山手前で敗退して以来、鹿島槍ヶ岳の双児峰は踏みたいピークNo.1であった。前回と同様に風が強かったが黙々と登り続ける。あっという間に南峰に着いたがまだ日の出には早い、北峰まで行けるだろうか。薄暗い中吊尾根への急な下りを慎重に通過していよいよ北峰のピークに立つ。あぁこれが見たかった。昨年この場所を縦走した山本良・井上から八峰キレットは簡単だと聞いていたが本当にその通りで、そこら中鎖がベタ張りされていて、むしろそれらが邪魔になる箇所もあるほどであった。不調の足にはキレット小屋からの幾回のもアップダウンはきつかったが、もし何事もなければ五竜までの岩の道は非常に楽しいのではないだろうか。もう目前の岩の登り降り、鎖や梯子に怯まない自分に気づいて嬉しくなる。足に自信が付いてきたか。五竜岳で写真を撮ってもらい、緩やかに山荘まで下る。遠見尾根から登ってきた小屋泊の登山客はもちろんテント泊の人々も指定の場所から溢れ出るほどであった。昨日のTSで一緒だった2人のパーティとはここでも隣になり、話すうちに彼らが警察官だということを知る。警察の仕事について話を聞くうちに君もどうだ、などと言われると、警官もいいのかななんて思ってしまう。デスクワークは向かないんじゃない、結構おおざっぱというか適当だろう、とまんまと性格を見抜かれる。職業柄かあるいは偶然か。それにしてもそろそろ自分の進路を真剣に考え始めなければ。親父さんがしみじみと山はいいよなぁ、と横で言っているのを聞くと自分も幸せな気分になってくる。山に入っていつも感じるこの中途半端な、表現しようのない感情は幸せの感情の一種なのかもしれない。いや、単につられやすいだけなのか!??

20100825_05五竜岳山頂にて

8月22日(日) 晴れ
1:45起床 3:23発- 5:40唐松山荘-6:15唐松岳-7:05二峰南峰-7:15二峰北峰-8:10一峰-10:15天狗の頭-10:55天狗山荘TS-19:15就寝
この縦走を始めてずいぶん前から気づいていたことだが、一人の方が起床してから出発するまでに時間がかかる。そしてTSに着いてからもテントを建てたり水を買いに行ったり、物を乾かしたり、といつもより忙しい。ほっとする間もなく(実際には時間的にあるはずなのだが)天気図を取り、ご飯を作って片づけて就寝する。絶対に暇だろうと思って持ってきた文庫本を読む気にならないのは体がくたくただからだ。鬱葱と茂ったハイマツ帯を抜けて牛首の鎖場に着く。なんだか今日は気が乗らない。通りすがりのおばさんが牛首は岩が脆くて危ない、と言っていたのが心に引っかかっているのだ。しかも今日は後に不帰嶮も待っているし…と、弱気になってはいかーん!あと3日、絶対無事に下山するのだから!ブロッケン現象で自分の影が遠方に浮かび上がる。そういえば唐松岳も私にとっては近くて遠かったピークの一つである。時間はかかったがやっと踏めた。キレットはアップダウンが多いが普通に注意していれば危険ではなかったように思う。足場が多少悪く、浮石もあったが今の登山靴で足をしっかり置けば問題なしだ。天狗の大下りと呼ばれるガレ場を登るとその先にはマリオが2人座ってこっちを見ている。いかにも怪しい。こんにちは、と挨拶して通り過ぎようとするが、相手は恒例のやり取りを始める。今日はどちらから?どちらまで?ザック重そうだね。「僕たちグリーンパトロールしているんですよ。」と首から下げたカードを見せてくるが、何のことかわからない。しかしそれ以上興味をそそられることなく、そのまま別れる。村営頂上小屋まで行く時間はあったが、既に高く上がった太陽とは戦う気になれず、予定通り天狗山荘TSで泊まることにする。稜線上は日射をもろに受ける上に日影がないため体力をすぐに消耗してしまうのだ。今日のTSには雪解け水があり水が無料なので、服を洗い体を拭いてリフレッシュしよう。と、またもやマリオ出現。今度は3人に増えている。グリーンパトロールとは高山植物を取っていく人を見張る仕事なのだとか。他に山の清掃や、雷鳥の分布をGPSで調査したりもするらしい。わかったような、わからないような仕事内容だが、そうして道草しているところを見るとハードではなさそうだ。夕飯まで昼寝をして、久々にゆったりと時間を持つことができた。

8月23日(月) 晴れ
2:10 起床3:42発-4:20鑓ヶ岳-5:30杓子岳-6:45白馬山荘-7:20白馬岳-10:05雪倉岳-14:43朝日小屋TS-19:30就寝
ラスト2日。最近は足がむくんで靴に入らないようになってきている。悲鳴を上げる足を無理やり押し込んで出発。あともう少し! 杓子岳で日の出を見てから白馬岳を目指す。一日の初めに受ける太陽の日差しと爽やかな風は本当に気持ちがいい。白馬山荘はホテルのような体裁をしており遠くから見ても存在感がある。白馬岳からはだらだらと下ったり登ったり、これまでとは違った緩い山歩きである。三国境を過ぎると同方向の登山客は絶え、解放感が溢れる中一人きりで山々を満喫する。雪倉岳避難小屋は開放されておらず裏手には異臭が漂っていた。周辺の高山植物は国の天然記念物に指定されているだけあって植生が豊富だ。なんと言っても小桜ヶ原の白い花はとても可愛らしい。赤男山と朝日岳を巻く長い林道を歩き、やっとのことで朝日小屋TSに到着する。この足で明日15時間の行程を為せるだろうか。あるいは2日に分ければ行けるだろうか。この時点で考えていてもしょうがないので、エスケープルートを確認して明日判断することにする。夕日ヶ原から見る夕焼けが少し物悲しかった。

20100825_06朝日小屋TS

8月24日(火) 晴れ
1:30起床 3:17発-4:03朝日岳-5:00千代の吹上-7:20白高知沢-10:05蓮華温泉
午前0時半、アラーム代わりにしていた携帯の電池が切れる音で目が覚める。うとうとと再度眠りに入ろうとするが、このまま寝続けると寝過ごすぞ、寝てはいけない、と理性が呼びかけ続けている。しょうがないから起きるか。朝日岳から朝日を見たかったのだが、何せ早く出発しすぎたためそのまま進むことにする。千代の吹上が栂海新道と蓮華温泉方面への最後の分岐点である。心は向こうへ続く緩やかな山並みに魅かれている一方、足は一刻も早く降りたいと言っている。ベンチに座って葛藤の末、蓮華温泉方向へ足を進める。それでも本当にこれでいいのか、後で後悔するだろうな、とふらふらしているうちに足を滑らせてストックを完全に折ってしまう。ストックなしでは最早下れなくなっている私にとってこの転倒は幸か不幸か決定打であった。緩やかに五輪尾根を下り、広い地形の中木道をてくてく歩く。下山と決まれば早く降りたい気持ちと疲労が一気にせり上がってくる。白高地沢を渡り、林道を行く。植物保護のために木道が多くて歩きやすいのだが単調で面白味はあまりない。兵馬の平周辺は様々な植物が鬱陶しいほどに主張してムッと生命の熱気が伝わってくる。キャンプ場が見えたところで木道は終わり砂利道を通って蓮華温泉ロッジへと到着する。ゆっくり温泉に浸かった後バスと電車に揺られて大阪へと向かう。25日午前0時過ぎ11日ぶりに帰宅したところで今回の縦走山行を終えた。

数日後
下山して数日経った今も未だ今回の縦走登山を自分の中で消化しきれていないように思う。もう少し時間が経てばこの縦走で自分が何を得たのかわかるようになる気がしている。最終目標の日本海に出られなかった原因は自分の力不足であり、歩行と体力増強が現時点で分かっている課題である。それにしても下界の空の小さいこと。自然の大きさにしっかりと触れて帰ってきた今、もはや下界の自然に満足できなくなっている自分に気付き、一生ものの宝物を得たようで嬉しく感じている。

20100825_07良く頑張った、私の足。

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